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神経科学:社会的恒常性の動的制御の基盤となる視床下部回路

Nature 640, 8060 doi: 10.1038/s41586-025-08617-8

ヒトを含めた多くの動物種において、社会的な集団形成は生存に有利に働く。逆に、社会的隔離は、「孤独」という有害な状況を作り出し、それによって他者との接触を求める動機が高まり、再会時に社会的相互作用が増える。社会的相互作用において観察される、孤独によって誘発されるこのリバウンド現象は、空腹・渇き・睡眠などの生理的動因と同様に、恒常性維持の仕組みが社会的欲求の制御の根底にあることを示唆している。本研究で我々はまず、複数のマウス系統で社会的隔離への行動反応を比較し、FVB/NJ系が特に高い感受性を、C57BL/6J系は中程度の感受性を示すことを明らかにした。これらのマウス系統を用いて、視床下部の視索前核に存在するこれまで特性が明らかにされていなかった2つのニューロン集団が、それぞれ社会的隔離時と社会的リバウンド時に活性化し、社会的欲求の喚起と充足に対応した行動を協調的に制御していることを発見した。これら2つのニューロン集団は互いに直接結合しており、社会的行動・情動状態・報酬・生理的要求と関連した脳領域ともつながっていた。また、マウスが他者の存在を評価し、社会的要求を満たすには、接触が必要であることを示した。これらの結果は、社会的恒常性を支える全脳的な神経システムの存在を示し、生得的な社会的要求を制御する神経回路の性質とその機能に関して、また、社会的文脈に関連する健常な脳状態と病的な脳状態についての理解に、機構的な手掛かりを与えるものである。

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