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物性物理学:準弾性中性子散乱による柔粘性氷VIIの観測
Nature 640, 8059 doi: 10.1038/s41586-025-08750-4
水は、宇宙で3番目に豊富な分子であり、氷衛星、巨大惑星、冥王星型や海王星型の太陽系外惑星の内部の主要な成分となっている。水は、広範な圧力と温度に容易に適応する独特な分子構造と柔軟な水素結合を持つため、数多くの結晶相とアモルファス(非晶質)相を形成する。惑星内部の高い圧力と温度に最も関係しているのは氷VIIで、シミュレーションによって、融解曲線沿いにいわゆる柔粘性相の存在が確認されている。この相では、個々の分子は、固体に見られるように定位置を占めるが、液体に見られるように回転可能である。そうした柔粘性氷は、まだ実験で直接観測されていない。今回我々は、450~600 Kの温度と最大6 GPaの圧力で行われた準弾性中性子散乱測定の結果について報告する。この測定によって、氷VIIに見られるような体心立方構造が存在し、水分子が、液体水に典型なピコ秒回転ダイナミクスを示すことが明らかになった。分子動力学シミュレーションの結果との比較から、この柔粘性氷VIIが自由回転子相に適合せず、むしろジャンプ回転子柔粘性結晶で観測されるような高速配向ジャンプを示すことが示唆された。我々は、今回の柔粘性氷VIIの観測が、氷惑星のジオダイナミクスと大型氷衛星の分化過程の理解に影響を及ぼすと予想する。

