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有機化学:2つのひずんだジラジカロイドのσ結合挿入反応
Nature 640, 8059 doi: 10.1038/s41586-025-08745-1
新しい合成方法の開発は、新薬発見を可能にするのに役立つ。芳香族化合物の代替構造(すなわち、飽和アレーン生物学的等価体)を効率的に得る方法が、大いに待ち望まれている。こうした生物学的等価体の導入は概して、好ましいドラッグライクな特性につながり、新たな研究分野となっている。今回我々は、温和な反応条件と操作が単純なプロトコルを用いて、待望のモチーフであるビシクロ[2.1.1]ヘキサン骨格を提供する新しい合成方法を報告する。この方法では、過渡的に生成された環状アレンとビシクロ[1.1.0]ブタンという、2つのひずんだフラグメントのまれなカップリングを通して反応が進行する。これらのフラグメントは、それぞれ約30 kcal mol−1、約60 kcal mol−1という大きなひずみエネルギーを持つ。この反応は、ジラジカル経路を経るσ結合挿入によって進行すると考えられる。しかし、ラジカル種の生成に外部刺激を必要とするのではなく、各反応物に存在する固有のジラジカル性の結果として、反応性が生じると考えられる。このジラジカロイドの性質は、反応設計に十分活用されていないパラメーターで、各反応物の非常に強い幾何学的ひずみに起因している。今回の研究は、創薬に有用な官能基化されたビシクロ[2.1.1]ヘキサンを得る手段を提供しており、反応物の幾何学的ひずみの使用がまれな反応性モードをいかに可能にし得るかを浮き彫りにするとともに、化学合成におけるジラジカロイドのさらなる探索と戦略的使用を促することだろう。

