Article

人類学:西ヨーロッパ最古となるヒトの顔

Nature 640, 8059 doi: 10.1038/s41586-025-08681-0

西ヨーロッパの最初の居住者が誰で、その身体的特徴はどのようなものだったのか、また、それらの人々がいつどこで暮らしていたのかは、前期更新世のユーラシアでの人類の定着に関する研究における未解決の問題である。西ヨーロッパの利用可能な古人類学的情報は乏しく、それらはイベリア半島のものに限られている。本論文で我々は、シマ・デル・エレファンテ遺跡(スペイン・アタプエルカ山地)のTE7層(年代は140万~110万年前と推定される)から出土したヒト族の中顔面の大部分について報告する。この化石(ATE7-1)は、西ヨーロッパでこれまでに特定されたヒトの顔面としては最も古いものである。このヒト族の中顔面に見られる形態的特徴の大半は、ヒト属(Homo)のクレードとしては原始的であり、近隣のグラン・ドリナ遺跡(同じくアタプエルカ山地にあり、年代は90万〜80万年前と推定される)で出土したホモ・アンテセッサー(Homo antecessor)に見られるような現代人に近い顔つきは認められない。さらに、ATE7-1は、ジョージアのドマニシで発見されたヒト族や他のほぼ同年代のヒト族よりも鼻歯槽領域がより派生的である。利用可能な証拠に基づき、TE7層で今回新たに発見されたヒト化石は、ホモ・エレクトス類似種(Homo aff. erectus)に分類するのが妥当である。シマ・デル・エレファンテ遺跡およびグラン・ドリナ遺跡の下位層から得られた考古学的、古生物学的、古人類学的な情報から、我々は、前期更新世末のヨーロッパでヒト集団の入れ替わりがあったと提案する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度