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分子生物学:胚の細胞系譜追跡のためのゲノム全域をカバーする単一細胞ヒストン修飾

Nature 640, 8059 doi: 10.1038/s41586-025-08656-1

受精から胚盤胞形成までの初期の胚発生では、エピジェネティック修飾の大幅なリセットが起こって接合子ゲノムが確実に活性化され、細胞の不均一化が進行する。コアヒストン修飾の単一細胞エピゲノムプロファイルを個々の細胞それぞれをカバーするようにマッピングすることは、発生生物学の重要な目標の1つである。今回我々は、マウスの初期胚で7種類のヒストン修飾のゲノム全域での単一細胞プロファイリングを可能にするTACIT(target chromatin indexing and tagmentation)という手法を開発した。そして、この単一細胞のヒストン修飾と単一細胞のRNAシークエンシングデータを統合して、単一細胞の分解能でのエピゲノムの全体像を得た。マルチモーダルなクロマチン状態のアノテーションにより、2細胞期の初期での接合子のゲノム活性化開始によって、分化全能性の不均一性が既にプライミングされていることが示された。そこで我々は、機械学習を用いて、発生段階特異的な転移因子や転写因子と推定される因子などを含む、分化全能性遺伝子調節ネットワークを明らかにした。これらの明らかにされた転写因子を組み合わせてCRISPRにより活性化したところ、マウスの胚性幹細胞で分化全能性が誘発された。複数のヒストン修飾の単一細胞同時プロファイリングと合わせることによって、我々は新たなモデルを開発した。このモデルでは、潜在的なマルチモーダル空間で内部細胞塊と栄養外胚葉に向けた細胞の最初期の分岐を予測し、調節因子とこれまで知られていなかった細胞系譜を特定する転写因子を確認できる。この研究により、マウスの着床前発生の間に起こる単一細胞のエピゲノムの情報の再プログラム化や細胞系譜のマルチモーダルな調節、細胞運命のプライミングについて、手掛かりがもたらされる。

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