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神経生理学:腸の陰窩–絨毛軸に沿ったストレスセンサーの空間的な分離
Nature 640, 8059 doi: 10.1038/s41586-024-08581-9
小腸の陰窩–絨毛構造は、腸の重要な保護バリアとして機能する。このバリアの健全性は腸の複雑な感覚系によって監視されていて、その系の中でもセロトニンを放出する腸クロム親和性(EC)細胞が重要な役割を担っている。腸上皮に散在するこのまれな感覚細胞は、腸粘膜環境を監視して管腔刺激を感知し、腸の内外にシグナルを伝達する。しかし、陰窩と絨毛の上皮に存在するEC細胞が異なる刺激を感知するのか、または、異なる生理的応答を引き起こすのかは明らかになっていない。今回我々は、これらの疑問を解明するため、生きた腸内のEC細胞からのセロトニン放出とその伝播を定量的に測定できるレポーターマウスを開発した。陰窩EC細胞には、上皮のセロトニン5-HT4受容体を活性化し、基底状態のイオン分泌を調節する持続的な低レベルの活動様式と、腸感覚神経の5-HT3受容体を活性化する刺激誘導性の高レベル様式の2つが存在することが分かった。これらのセロトニン放出様式はいずれも、陰窩EC細胞のみに発現する刺激受容体TRPA1によって誘発される。さらに、保護粘液層が損なわれると、管腔内の刺激物によるTRPA1の活性化が増強される。絨毛EC細胞もまた、酸化ストレスがTRPM2チャネルを活性化し、これによりセロトニンとATPの両方が放出され、結果として腸感覚神経が興奮するという、異なる機構によりストレスシグナルを伝える。このような粘膜構造に沿ったEC細胞機能の空間的な分離は、さまざまな生理的条件下で腸の健全性を監視、維持、保護する機構を構成している。

