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神経科学:ストレスに対する二重経路構造により主体性が阻害され習慣形成が促進される
Nature 640, 8059 doi: 10.1038/s41586-024-08580-w
慢性的なストレスは、学習の仕方、つまりは意思決定の仕方を変え得る。今回我々は、こうした変化を起こし得る神経回路機構について調べた。我々は、雌雄のマウスに多面的システム神経科学手法を適用して、扁桃体–線条体の二重経路の神経回路構造を明らかにする。この回路構造によって、直近の慢性ストレス歴が適応的な主体性の基盤である行為–結果学習を阻害し、柔軟性に欠ける習慣の形成を促進する。扁桃体基底外側核から背内側線条体への投射は、報酬をもたらす事象によって活性化され、柔軟かつ目的指向的な意思決定に必要な行為–結果学習を支えていることが分かった。慢性的ストレスはこの投射路を弱め、行為–結果学習、ひいては主体性を阻害する。逆に、扁桃体中心核から背内側線条体への投射は習慣の形成を仲介している。ストレスがかかると、この経路は、柔軟性に欠ける習慣の早期形成を促す学習に漸進的に利用されるようになる。従って、ストレスは2つの扁桃体–線条体経路に対して相反する作用を及ぼし、主体性を阻み、習慣形成を促す。今回のデータは、慢性的なストレスが学習と意思決定を形成する仕組みに関する神経回路的な手掛かりを提供するとともに、ストレスが薬物使用障害や精神疾患の特徴である意思決定の阻害と病的な習慣につながり得る仕組みについての理解を助けるものである。

