Article
免疫学:疲弊T細胞の前駆細胞は急性感染においてあらかじめ形成される
Nature 640, 8059 doi: 10.1038/s41586-024-08451-4
T細胞の疲弊は慢性感染や腫瘍においてエフェクターT細胞の機能を制限する。このような機能低下したT細胞やその前駆細胞が発生するには、抗原や炎症への持続的な曝露後にのみ満たされる刺激条件が必要であると考えられていた。しかし今回我々は、同様の疲弊T細胞集団が急性感染の早期段階にも存在することを示す。この段階では、早期発生のTCF1+前駆細胞集団は予想外の多様性を示し、正常な記憶T細胞の前駆細胞を含むだけでなく、慢性感染で見られる疲弊T細胞前駆細胞に類似した表現型、遺伝子発現、エピジェネティクスのプロファイルを有する細胞も含んでいることが分かった。これらの前駆細胞の発生は、高いリガンド親和性によって促進され、PD-1シグナル伝達によって制限されることが明らかになった。疲弊前駆細胞は最初よく見られ、免疫系が感染を解消する過程で徐々に減少するものの、完全に喪失することはない。従って我々は、少なくとも2つの異なる表現型を持つ前駆T細胞が、感染の転帰に関係なく、あらかじめ生じていると結論する。

