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がん遺伝学:正常な胃上皮の体細胞変異の全体像
Nature 640, 8058 doi: 10.1038/s41586-025-08708-6
正常な細胞の体細胞変異の全体像からは、生涯を通じて起こる変異と選択の過程に関する情報が得られ、正常な老化やがんの初期発生についての洞察がもたらされる。今回我々は、胃がん患者18人を含む30人から得た238点のマイクロダイセクション試料について全ゲノム塩基配列解読を行い、正常な胃上皮および悪性の胃上皮の発生軌跡を明らかにした。その結果、胃腺はモノクローナルな細胞集団の単位であり、1年当たり約28個の体細胞性一塩基バリアントを生じ、これらは主に内因性の変異過程に起因することが分かった。胃がん患者では、増殖や酸化損傷と結び付けられる変異過程の加速により、化生腺での変異負荷の増加がしばしば見られた。正常細胞としては異例だが、胃上皮細胞はしばしば特定染色体の再発性トリソミーを有し、これは一部の人々で非常に多く見られた。がん遺伝子を標的とした塩基配列解読により829点のポリクローナルな胃の微小生検試料を調べたところ、ARID1A、ARID1B、ARID2、CTNNB1およびKDM6Aなど、既知のがん遺伝子の特徴的なレパートリーに体細胞性の「ドライバー」変異が見つかった。変異クローンの割合は年齢とともに増加し、60歳までには胃上皮層の約8%を占めるようになり、重度の慢性炎症がある場合は著しく増加した。我々の知見は、健常状態、前がん状態、悪性状態での胃上皮における体細胞の進化に対する内因性と外因性の影響について洞察をもたらすものである。

