免疫学:マクロファージはファゴサイトーシスにより取り込んだ細菌を再利用して免疫代謝応答を促進する
Nature 640, 8058 doi: 10.1038/s41586-025-08629-4
マクロファージはファゴサイトーシス、すなわち細胞外にある微生物などを細胞内に取り込んで分解し、除去する過程を専門的に行っている。細菌感染の際にファゴサイトーシスが担う重要な役割にもかかわらず、ファゴサイトーシスによって取り込まれた微生物という積み荷の運命とそれが宿主細胞に及ぼす影響についてはよく分かっていない。本研究で我々は、取り込まれた細菌は代替的な栄養源となって免疫代謝的な宿主応答の方向を変えることを示す。安定同位体で標識した細菌を追跡することで、ファゴリソソームによる細菌の分解が炭素原子やアミノ酸を供給しており、これらはグルタチオンやイタコン酸生合成などの多様な代謝経路で再利用されて、マクロファージのバイオエネルギーの需要を満たしていることが分かった。細菌由来の栄養素の代謝的な再利用は、栄養素を感知するmTOR(mechanistic target of rapamycin)C1によって調節されており、微生物の生存能力と複雑に結び付いている。死んだ細菌は、生きている菌とは対照的に、環状アデノシン一リン酸を多く含んでいて細胞のアデノシン一リン酸プールを維持し、続いてアデノシン一リン酸プロテインキナーゼを活性化して、mTORC1を阻害する。結果として、死菌は代謝的リサイクリングを強力に促進し、マクロファージの生存を支えるが、生菌と比べると活性酸素種の産生低下やインターロイキン-1β分泌減少をもたらす。これらの結果は、ファゴサイトーシスによって取り込まれた微生物の運命に新たな知見をもたらし、微生物の生存可能性と関連する代謝産物が、宿主の代謝応答と免疫応答を引き起こすことを明らかにしている。今回の知見が、多様な免疫関連病態に関する免疫代謝的介入の具体化につながることが期待される。

