電子工学:標準的なシリコントランジスターにおけるシナプス挙動とニューロン挙動
Nature 640, 8057 doi: 10.1038/s41586-025-08742-4
最も先進的な人工ニューラルネットワーク(ANN)は、数億個の電子シナプスで相互接続された数百万個の電子ニューロンから形成されており、ANNのハードウエア実装によって、いくつかの小規模なデータ集約的な計算タスクで、従来のコンピューターよりも高いエネルギー効率を達成している。Intel社のLoihiやIBM社のNorthPoleといった最先端のニューロモルフィックコンピューターは、生物から着想を得た、少なくともニューロン1個当たり18個、シナプス1個当たり6個の相補型金属酸化物半導体(CMOS)トランジスターからなる、ニューロンおよびシナプスを模倣した回路を使用してANNを実装している。これら2つの構成要素の構造とサイズを単純化することで、さらに精緻で大規模な、エネルギー効率の高いANNの構築が可能になると考えられる。今回我々は、単一のCMOSトランジスターが、特定の(非従来型の)様式でバイアスをかけるとニューロン挙動とシナプス挙動を示し得ることを示す。我々は、さらに1個のCMOSトランジスターを追加し直列接続することによって、調整可能な神経シナプス応答を示す汎用性の高い2トランジスターセルを構築し、これを「神経シナプス・ランダムアクセスメモリー・セル(NS-RAMセル)」と名付けた。今回のデバイスは、使用したシリコンCMOSプラットフォームが成熟しており、CMOS工程にとって異質な材料やデバイスを必要としないため、電子的な性能に加え、100%の歩留まりと、極めて低いデバイス間ばらつきも兼ね備えている。これらの結果は、効率的なANNを実装するための短期的な解決策、ならびに人工知能用途に向けたCMOS回路設計と最適化における好機となる。

