Article

有機化学:インジウムを用いた水中での天然ヘキソースおよびペントースの触媒的アリル化

Nature 640, 8057 doi: 10.1038/s41586-025-08690-z

炭水化物(糖類)は、豊富に存在する安価な再生可能バイオマス原料であり、持続可能な化学品製造の基礎となる可能性がある。しかし、こうした原料を活用するスケーラブルで環境に優しい方法が不足している。例えば、1-アリルソルビトールは、ポリプロピレン透明化剤Millad NX 8000の基本構成要素であり、年間数トン規模で生産されているが、現在の製造プロセスでは超化学量論的な量のスズが必要である。NX 8000添加剤は、透明化ポリプロピレンの世界市場の約80%を占めており、透明性と耐熱性を向上させるためにポリプロピレン製造時に0.01~1%の濃度で用いられていて、これは年間300~3万トンに相当する。2022年のポリプロピレンの市場規模は約7901万トンであり、その需要は2030年までに33%近く上昇し1億500万トンに達すると予想されている。透明化ポリプロピレンはコスト面と持続可能性の面で長所があるため、この需要が押し上げられつつあり、より多くの透明化剤が必要とされている。今回我々は、水中で触媒量の金属インジウムと共に、供与体としてアリルボロン酸とピナコールエステル(allylBpin)のいずれかを用いた無保護糖の高収率アリル化を報告する。アルドヘキソース、アミノヘキソース、ケトヘキソース、アルドペントースが全て温和な条件下において高収率でアリル化され、金属インジウムは触媒活性を失うことなく回収し再利用が可能であった。これらの特徴を活用することで、このプロセスが、反応パラメーターのベイズ最適化を通して1-アリルソルビトールの高収率で高生産性のスケーラブル連続フロー合成に移行された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度