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幹細胞:腸腫瘍イニシエーションの根底には陰窩密度とエンハンサーの誘導がある
Nature 640, 8057 doi: 10.1038/s41586-024-08573-9
大腸がんを駆動する発がん性変異は、明白な影響を示さないまま長期にわたり、健康な腸に存在している可能性がある。Apcの変異は従来の腺腫で最もありふれた発がんのイニシエーション事象であり、Wntシグナル伝達を活性化し、変異した腸幹細胞(ISC)の適応度を高める。Apc変異はISCで生じる可能性があるが、ISCには通常の自己複製によって発生するものと、その子孫の脱分化によって発生するものがある。起源を異にするこれらのISCは基本的には似ているが、損傷を受けていない腸で、どちらも同じように腫瘍を生み出すのかどうかは不明である。また、シス調節エレメントの制御が実質的にWntの過剰活性化によって行われるものなのか、その後進展した腫瘍の特性であるのかも不明である。本研究で我々は、2つのマウスモデルにおいて、どちらの起源のISCでもApcの欠失によって必ず腺腫が生じるわけではなく、変異型の腸陰窩同士が近接している必要があることを示す。陰窩密度が低いと腺腫形成は抑制され、変異型の結腸陰窩が凝集すると腺腫形成は増加した。さらに、腺腫に常在するISCでは、数千のエンハンサーがオープンクロマチン構造をとっていたが、これらは腺腫と無関係のApcヌルISCでは閉じてアクセスできない状態にある。これらのシスエレメントは腺腫選択的な遺伝子活性を説明し、他の発がん性変異が蓄積してもそのレパートリーはほとんど増えることがなく存続する。従って、隣接する変異型陰窩の間の協同作用と、特定のエンハンサーでの新しいアクセシビリティーが、腸腫瘍形成における重要な初期段階である。

