免疫学:プロテアソーム由来防御ペプチドによる細胞自律的な自然免疫
Nature 639, 8056 doi: 10.1038/s41586-025-08615-w
これまで数十年にわたり、T細胞を介した免疫のための主要組織適合遺伝子複合体クラスI上への抗原提示が、プロテアソーム由来ペプチドの主な機能であると考えられてきた。しかし、プロテアソームの分解産物が免疫応答の開始にさらなる役割を担っているかどうかは分かっていない。抗微生物ペプチドは、侵入病原体に対して適応免疫系が応答するまで、防御の最前線として機能する。抗微生物ペプチドが多数の組織で防御機能を持つことは十分に確立されているが、抗微生物ペプチドが作り出される基盤となる細胞機構は完全には解明されていない。今回我々は、プロテアソームが構成的および細菌誘導的に防御ペプチドを生成し、そのペプチドが細菌膜を破壊することによって、in vitroおよびin vivoの両方で細菌の増殖を阻害する役割を果たすことを明らかにする。プロテオーム規模のプロテアソーム切断についてのin silico予測から、プロテアソームに由来する、陽イオン性の数十万の防御ペプチド候補が特定された。これらのペプチドは、分解途中で生成されて、防御の最前線で機能する可能性がある。さらに、細菌感染は、PSME3の動員やトリプシン様切断の増加など、プロテアソームの組成や機能に変化を誘導し、抗菌活性を高める。我々の研究は、細胞自律的な自然免疫におけるプロテアソームの役割について機構的な手掛かりをもたらすだけでなく、プロテアソームが切断するペプチドには分解の下流でこれまで見過ごされていた機能を持つ可能性を示唆している。トランスレーション研究の観点から、プロテアソーム由来防御ペプチドの特定は、感染症や免疫不全疾患における生物工学的応用および治療的介入に対する、手付かずの天然抗生物質の資源となる可能性がある。

