分子生物学:SPO11に依存した二本鎖切断形成の再構成
Nature 639, 8055 doi: 10.1038/s41586-025-08601-2
減数分裂期組換えは、SPO11によるDNA二本鎖切断(DSB)の生成で始まる。SPO11はほとんどの生物種で減数分裂に極めて重要であるが、変異原性や配偶子致死性を持つ危険なDSBを作る可能性がある。そのため細胞は、SPO11の有用な機能を利用しながら、そのリスクを最小限に抑えなければならない。だが、細胞がそれをどのように行うのかはいまだほとんど分かっていない。今回我々は、TOP6BLに結合したマウスの精製組換えSPO11を使った、in vitroでのDNA切断再構成について報告する。SPO11–TOP6BL複合体は溶液中で単量体(1:1)であり、DNAに強く結合するが、二量体(2:2)の集合体はDNAを切断して5′端に共有結合した付着物を形成する。それにはSPO11の活性部位の残基と二価の金属イオン、SPO11の二量体化が必要である。またSPO11は、それ自身がニックを入れたDNAを再結合できる。AlphaFold3を使った構造モデル化では、DNAが切断前に折り曲げられることが示唆された。in vitroでの切断は、塩基配列に偏りが見られ、この偏りはin vivoでのDSBの位置選択の優先傾向を部分的に説明する。複雑なDNA基質に対しての切断効率は低いが、それはSPO11がDSBの生成に適さない結合状態(おそらくは単量体性の状態)にトラップされやすく、その状態の交換速度が遅いことが一因である。しかし、SPO11の二量体形成が起こりやすい基質を使ったり、人工的にSPO11を二量体化したりすれば、切断は改善された。これらの結果から、SPO11の本来的に弱い二量体形成能がin vivoでSPO11活性を制限し、補助タンパク質に大きく依存してDSB形成を集中的に制御するモデルが支持される。

