免疫療法:ヒトと相関性のある遺伝的モデルで肝臓がんの精密治療を見いだす
Nature 639, 8055 doi: 10.1038/s41586-025-08585-z
肝細胞がん(HCC)は原発性肝臓がんの最もありふれた種類であり、世界中でがんによる死亡の主たる原因となっている。HCCは通常、さまざまな素因的異常によって生じた慢性肝疾患を背景に発生する。腫瘍の発生は、進行性のドライバー変異を蓄積するクローンの増殖によって駆動され、起源細胞として最も可能性が高いのは肝細胞である。しかし、HCCでのドライバー変異の全体像は、基礎となる病因とはおおむね無関係である。進行HCCに対する全身治療の選択肢の範囲は拡大しているにもかかわらず、転帰のばらつきは依然として大きく、不良であることが多い。新たなデータでは、薬剤の有効性は疾患の病因と遺伝的変化に依存することが示唆されている。従って、ヒトとの関連性の高い前臨床モデルでサブタイプを調べることが、HCCの精密医療の進展には不可欠である。本研究で我々は、遺伝的に駆動した免疫能を持つin vivo HCCモデルと、それに対応したin vitroモデルのセットを作製した。我々のモデルは、クローンの起源、組織病理学的外観、転移など、ヒトHCCが持つ複数の特性を備えていた。このマウスモデルのトランスクリプトームデータをヒトHCCのデータと統合したところ、ヒトとマウスに共通する4種類のサブタイプクラスターが明らかになった。これらのサブタイプクラスターのトランスクリプトームには、ヒトの組織病理と合致する明確な特徴があった。我々は原理証明解析において、標準治療に対する応答を確認するとともに、in vitroとin vivoを連結したパイプラインを用いて、これまでHCC治療とは結び付けられていなかった有望な治療候補クラドリビンを特定した。クラドリビンは、標準治療と併用すると、サブタイプ特異的に非常に効果的な作用を示した。

