生物工学:最適化したmitoBEを用いたミトコンドリア病の正確なモデル化
Nature 639, 8055 doi: 10.1038/s41586-024-08469-8
ミトコンドリア病の研究や治療には、動物モデルの開発が不可欠である。今回我々は、アデニンデアミナーゼとシトシンデアミナーゼを最適化して、トランスクリプトームやミトコンドリアゲノムに対するオフターゲット効果を軽減することで、新たに開発したミトコンドリア塩基エディター(mitoBE)の精度と効率を向上させた。我々は、この改良版mitoBE(バージョン2〔v2〕)を用いて、ヒトの病原性バリアントに類似したマウスの70のミトコンドリアDNA変異を標的とし、ミトコンドリア病のマウスモデルの基盤を確立した。環状RNAにコードしたmitoBE v2は、マウスで最大82%の編集効率を達成し、核ゲノムへのオフターゲット効果は検出されなかった。編集されたミトコンドリアDNAはさまざまな組織で維持されて母性遺伝し、その結果、F1世代で変異量が100%に達する例もあり、一部のマウスでは標的部位だけで編集が起こっていた。我々は、転写活性化因子様エフェクター(TALE)結合部位を最適化することにより、mt-Nd5 A12784G変異に対する単一塩基編集マウスモデルを開発した。表現型の評価によって、mt-Atp6 T8591C変異とmt-Nd5 A12784G変異についてのマウスモデルが作製され、前者はリー症候群に見られる心拍数低下に相当する表現型、後者はレーバー遺伝性視神経萎縮症に特徴的な視力喪失に相当する表現型を呈した。さらに、mt-Atp6 T8591C変異はmt-Nd5 A12784G変異よりも有害で、胚発生に影響を及ぼし、その後の世代から急激に消失していくことが明らかになった。これらの改良版mitoBEは、ミトコンドリア病モデルを非常に効率良く正確に作製する戦略を提供し、この分野の今後の研究に対する基盤となるものである。

