Article

がん:腫瘍全体のRNAスプライシング異常は治療標的となり得る共通ネオアンチゲンを生じる

Nature 639, 8054 doi: 10.1038/s41586-024-08552-0

T細胞ベースの免疫療法は、免疫系によるがん特異的抗原の認識を利用したがん治療に有望とされている。しかし、体細胞変異が少なく腫瘍内不均一性が大きい腫瘍では、その有効性は限定的である。今回我々は、多様ながん種においてRNAスプライシング異常に起因し、これまでに特性が不明だった腫瘍全体の共通ネオアンチゲンのクラスについて報告する。我々は、GNASおよびRPL22の異常なスプライシングに由来するネオアンチゲンの認識と標的化が可能なT細胞受容体のクローンを特定した。多部位生検の症例では、グリオーマ(神経膠腫)、中皮腫、前立腺がん、肝臓がんでGNASネオジャンクションの発現が腫瘍全体で検出された。これらのネオアンチゲンは、生理条件下で腫瘍細胞により内因的に作られて提示され、ネオアンチゲン特異的CD8+ T細胞によるがん細胞死を引き起こすのに十分である。この研究ではさらに、特定のがん種でスプライシング因子の発現調節異常が果たす役割を明らかにし、これがネオジャンクションの発現が増強するパターンにつながっていることを示す。これらの知見は、T細胞ベースの免疫療法によって腫瘍内不均一性の課題に取り組むための分子基盤を確立するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度