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遺伝学:デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは転写適応によりユートロフィンが上方調節される

Nature 639, 8054 doi: 10.1038/s41586-024-08539-x

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィンタンパク質をコードするDMD遺伝子の変異によって引き起こされる筋変性疾患である。ユートロフィン遺伝子(UTRN)はDMDの遺伝的・機能的パラログであり、DMD患者の一部で上方調節されている。今回我々は、UTRNのこの上方調節についてさらに調べるために、まずDMDに対して誘導可能なメッセンジャーRNA(mRNA)分解システムを開発した。このシステムでは、選択的スプライシングされたDMDエキソンの1つに未成熟終止コドン(PTC)を導入する。PTCを含むエキソンが組み込まれると、DMD変異mRNAの分解とUTRNの上方調節が引き起こされた。ナンセンス変異によって仲介されるmRNA分解遮断はUTRNの上方調節を反転させたが、DMDを過剰発現させても反転は起こらなかった。さらに、野生型細胞でのDMDPTCミニ遺伝子の過剰発現は、自己切断型リボザイムを持つ野生型DMDミニ遺伝子と同様に、UTRNの上方調節を引き起こした。これらの知見を治療条件下で検討するために、PTCの導入を目的として、スプライススイッチ型のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を用いてDMDのアウト・オブ・フレームエキソンのスキッピングを誘導した。その結果、これらのASOはUTRNの上方調節を引き起こすことが分かった。さらに、実際のDMD治療と同じように、DMDΔE52患者由来の筋管で、ASOを用いてDMDのリーディングフレームを復元すると、UTRNの上方調節は低下した。まとめると以上の結果は、転写適応と呼ばれるmRNA分解を基盤とする機構が、DMDPTC患者でのUTRNの上方調節に重要な役割を担っていることを明らかにしており、転写適応を介した遺伝的補償を誘導するASOとリボザイムの、まだ調べられていなかった治療応用を強調している。

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