Article
ナノスケール材料:グラフェン系人工原子における軌道混成
Nature 639, 8053 doi: 10.1038/s41586-025-08620-z
実際の原子が凝縮して物質を形成する際の2つの基本過程は、原子内軌道混成と原子間結合形成である。人工原子は、量子閉じ込めに起因する離散的エネルギー準位を実証することによって実際の原子を模倣したものである。従って人工原子は、原子内軌道混成や原子間結合形成をシミュレートするための固体類似物となる。原子間結合形成の特徴は、さまざまな人工原子で広く観測されている。しかし、人工原子における原子内軌道混成の直接的証拠は、まだ実験的には実証されていない。今回我々は、人工原子の形状を変化させることによって、人工原子における軌道混成を実現した。閉じ込めポテンシャルの異方性に起因して、人工原子内で異なる軌道量子数を有する準束縛状態間の混成が生じる。これらの混成軌道は、我々の実験において実空間で直接可視化され、数値計算と解析的導出によってよく再現された。今回の研究は、実際の原子では実験で実現できない人工物質を設計する道を開くものである。さらに、今回得られた結果は、さまざまな系における量子状態の先進的制御の動機付けとなる。

