Article

物性物理学:ホフスタッターのフラクタルなエネルギースペクトルの分光学

Nature 639, 8053 doi: 10.1038/s41586-024-08550-2

ホフスタッターの蝶は、磁場中の二次元格子に閉じ込められた非相互作用電子に予測されるエネルギースペクトルであり、自然界で最も注目すべきフラクタル構造の1つである。格子単位胞当たりの磁束量子が有理比である場合には、このスペクトルは、その再帰的な構造を反映した、エネルギー準位の自己相似分布を示す。ほとんどの材料について、ホフスタッターの蝶は、実験室規模の磁場では実現不可能な実験条件下で予測されている。さらに最近では、電気輸送の研究から、人工的に格子定数を大きくするように設計作製された材料、例えばモアレ超格子でホフスタッターの蝶の証拠が得られている。しかし、50年近く前にホフスタッターが予測したフラクタル・エネルギー・スペクトルの直接分光は、今のところ実現できていない。今回我々は、高分解能の走査型トンネル顕微鏡/分光法(STM/STS)を用い、ホフスタッターのスペクトルを分光学的に研究する理想的な設定である、予測された第二魔法角付近のツイスト2層グラフェン(TBG)において平坦電子バンドを調べた。その結果、平坦モアレバンドが、離散的なホフスタッターのサブバンドに分数化されることが示され、このスペクトルの自己相似性の実験的徴候が認められた。さらに、今回の測定結果から、電子密度とともに動的に発展するスペクトルが明らかになり、TBGにおける電子の強相関、クーロン相互作用、量子縮退の複合効果に起因する、ホフスタッターのオリジナルのモデルを超える現象が示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度