構造生物学:PIWIアルゴノートによるRNA切断についての構造学的知見
Nature 639, 8053 doi: 10.1038/s41586-024-08438-1
アルゴノートタンパク質はAGOクレードとPIWIクレードに分類される。多くの動物種にわたって、AGOクレードのタンパク質は多様な細胞タイプで広く発現されており、正常な遺伝子発現を調節している。これとは対照的に、PIWIクレードのタンパク質は、主に配偶子形成期に機能してトランスポゾンを抑制し、稔性を確保している。2つのクレードは共に、塩基対形成によって標的を認識するために核酸をガイドとして使用しており、これは直接の切断によることが多い標的のサイレンシング開始に重要である。AGOクレードタンパク質は、ガイドと標的の密な相互作用を確保するために狭い経路を使う。これとは対照的に、PIWIタンパク質はより広い経路を特徴としていて、これはペア形成の際のミスマッチが許容されるようして標的に対するサイレンシング特性を拡張するためと考えられている。しかし、PIWIが仲介する標的切断機構はまだ解明されていない。今回我々は、PIWIタンパク質が標的との結合後に、コンホメーション変化を起こして「開いた」状態から「ロックされた」状態へ移行し、これにより塩基対形成が促進されて標的切断効率が向上することを実証する。この移行によって、結合経路が狭くなるのに加えて、piRNA–標的二本鎖の位置がMID-PIWIローブの方に移動して広い接触範囲が確保され、二本鎖が安定化する。また、この移行の間に中間的な「コンマ型」のコンホメーションが生じることも確認され、これはPIWI切断活性を向上させる既知の補助タンパク質であるGTSF1を誘導している可能性がある。GTSF1は、PIWIドメインをRNA二本鎖に連結することで「ロックされた」状態への移行を容易にしており、それによって効率の良い標的切断に重要なコンホメーション変化を促進している。これらの知見により、標的RNA切断におけるPIWI–piRNA複合体機能の基盤となる分子機構が説明され、PIWIタンパク質からの動的なコンホメーション変化が補助因子を調整して配偶子形成を保護する仕組みについての手掛かりが得られる。

