Review
生物学手法:質量分析に基づくプロテオミクス:単一細胞から臨床応用まで
Nature 638, 8052 doi: 10.1038/s41586-025-08584-0
質量分析(MS)に基づくプロテオミクスは、生体システムを包括的に解析するための強力なツールへと進化してきた。最近の技術進歩によって感度が著しく向上し、単一細胞プロテオミクスや組織の空間プロファイリングが可能になっている。同時に、スループットとロバスト性の向上が臨床応用を後押ししている。本総説で我々は、新しい試料調製法、先端計測機器、革新的なデータ取得戦略など、プロテオミクス技術の最新の進歩について概説する。我々は、これらの進歩がタンパク質間相互作用や翻訳後修飾、構造プロテオミクスなど、主要分野の前進をどのように駆動しているかを探る。こうしたプロテオミクスワークフローに人工知能(AI)を統合することで、データ解析や生物学的解釈が加速する。我々はまた、細胞の不均一性や組織構造について前例のない手掛かりをもたらし得る、単一細胞解析や空間プロファイリングへのプロテオミクスの応用について論じる。さらに我々は、体液中のバイオマーカーの発見やプロテオミクスに基づく診断法を実施することに伴う有望性と課題など、プロテオミクスの基礎研究から臨床診療への移行について検討する。本総説は、プロテオミクスの現状と、プロテオミクスが生物学の理解を根本から変え、医療現場を変革する可能性についての、広範かつ高水準の全体像をもたらすものである。

