神経生物学:トランスクリプトーム上は同タイプのニューロンも、場所次第で機能も形態もさまざまである
Nature 638, 8052 doi: 10.1038/s41586-024-08518-2
形態・接続性・機能などのニューロンの表現型形質の大部分は、差次的に発現する遺伝子群の特定の組み合わせによって決められている。トランスクリプトーム空間におけるニューロンのクラスターは、それぞれ異なる細胞タイプに相当し、例えば線虫の一種Caenorhabditis elegansのニューロンや網膜神経節細胞など、いくつかの例では、形態と機能が共通していることが示されている。ゼブラフィッシュの視蓋は、視覚入力を運動出力に変換するニューロンの空間的配列で構成されている。しかし、視覚地図は連続していても、視蓋は下部領域で機能的に特殊化している。今回我々は、視蓋の細胞タイプ構成を明らかにするために視蓋ニューロンのトランスクリプトームプロファイリングを行い、60以上の細胞タイプが、解剖学的に異なる層で組織化されていることを明らかにした。次いで我々は、2光子カルシウム画像化法によって数千個の視蓋ニューロンの視覚応答を測定し、それらをトランスクリプトームプロファイルと対応付けた。我々はまた、特定のトランスジェニック系列を使って、トランスクリプトームによって特定したニューロンの形態の特徴付けを行った。注目すべきことに、トランスクリプトームで同類とされたニューロンが、形態・接続性・視覚応答の点で多様であることが分かった。視蓋容積内のニューロンの空間座標を組み込むと、個々のトランスクリプトームクラスター内に、機能的・形態的に区別できる解剖学的サブクラスターが存在することが明らかになった。今回の知見は、外因的で位置依存的な要因が、遺伝的に類似したニューロンの表現型レパートリーを拡大していることを実証するものである。

