Article

生物地球化学:有孔虫類によるリン酸塩貯蔵の普遍性とその重要性

Nature 638, 8052 doi: 10.1038/s41586-024-08431-8

有孔虫類は海洋に汎存する原生生物であり、細胞内にリン酸塩を蓄積する。リン酸塩は海洋生態系における重要な栄養塩であり、肥料に含まれるリンが海洋に流入し、リン酸塩として供給されることもある。有孔虫類の細胞内リン酸塩濃度は、場合によっては周囲の水の100~1000倍に達する。本研究で我々は、有孔虫類によるリン酸塩の貯蔵が、干潟から深海まで広い範囲で行われていることを明らかにする。ワッデン海の底生有孔虫Ammonia confertitestaが春の植物プランクトン大増殖(ブルーム)期に細胞内に貯蔵するリン酸塩の総量は、ドイツで1年間に消費されるリン肥料の最大約5%に相当していた。北海の南部およびペルー沖の酸素極小層(OMZ)の収支を計算したところ、底生有孔虫類が除去するリンの量は、北海の南部では河川からの流出量の約37日分、ペルー沖では同約21日分に相当する可能性があることが示された。これは、有孔虫類が海洋のリン循環に重要であり、沿岸環境の人為起源の富栄養化を緩和している可能性を示している。リンは、アシドカルシソームと考えられる細胞小器官にポリリン酸として貯蔵されている。その代謝機能は、浸透圧や細胞内pHの調節から、カルシウムやエネルギーの貯蔵まで、さまざまなものがあり得る。また、クレアチンリン酸やポリリン酸をはじめとする高エネルギーのリン化合物の貯蔵は、貧酸素環境に対する有孔虫類の適応である可能性が高い。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度