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化学:芳香族開環メタセシス
Nature 638, 8051 doi: 10.1038/s41586-024-08472-z
芳香族化合物は安定で、特徴的な相互作用を示し、明確な分子形状を持ち、さまざまな環化反応による合成方法が数多く存在するため、化学や材料科学の分野全体で用いられている。対照的に、不活性な芳香族炭素–炭素結合の開裂は、開環による芳香族性の破壊はエネルギー的に不利なため、ほぼ実現不可能である。非芳香族構造の場合、最も汎用的な炭素–炭素結合の形成・切断反応の1つとして、遷移金属アルキリデンによって触媒されるアルケンメタセシスが確立されている。しかし、顕著な進歩にもかかわらず、芳香族化合物をメタセシスによって開環する戦略はいまだ実現困難である。今回我々は、Schrock–Hoveydaモリブデン触媒を用いて、テトラフェン、ナフタレン、インドール、ベンゾフラン、フェナントレン類などの芳香環を開裂させる、芳香族開環メタセシス(ArROM)を報告する。各環系の反応は、特異なアルキリデン中間体を通して進行する。さらに我々は、アトロプ異性体の立体配置の精巧な触媒制御を用いた、立体選択的ArROMの可能性を示す。従ってArROMは、いかなる試薬や光励起も必要とせずにさまざまな芳香族化合物を触媒的に変換・相互変換する実行可能かつ効率的な手法である。

