細胞生物学:サテライトDNAの形は雌性減数分裂でのセントロメア周辺のパッケージングを指示する
Nature 638, 8051 doi: 10.1038/s41586-024-08374-0
セントロメアが染色体の遺伝を誘導する過程は重要で、高度に保存されているが、セントロメアとその周辺のサテライトDNAの量と塩基配列は急速に進化している。このような急速な進化がもたらす影響は不明である。今回我々は、雌性減数分裂においては、塩基配列に依存したDNAの形がセントロメア周辺のサテライトDNAのパッケージングを指令すること、それにはDNAの形を識別する保存されたクロマチン構造タンパク質であるHMGA1(high mobility group AT-hook 1)が関与することを見いだした。近縁関係にある2種類のマウスであるイエハツカネズミ(Mus musculus)とアルジェリアハツカネズミ(M. spretus)のセントロメア周辺にあるヘテロクロマチンは、DNAの狭い副溝の密度とHMGA1の動員の両方に違いのある、異なるサテライト上に形成される。次いで、HMGA1はイエハツカネズミのサテライトに選択的に結合し、イエハツカネズミの卵母細胞でHMGA1が欠乏するとセントロメア周辺のサテライトが大幅に広がり、動原体の構造が崩壊し、双極紡錘体の形成が遅れる。イエハツカネズミとアルジェリアハツカネズミの雑種卵母細胞では、HMGA1が欠乏するとイエハツカネズミのセントロメア周辺だけが不均衡に損なわれ、こうした領域にある動原体への微小管の付着が阻害される。従って、DNAの形は、セントロメア周辺のパッケージングと染色体分離装置の両方に影響している。セントロメアとセントロメア周辺のDNAが急激に進化しても、サテライトDNAがHMGA1のような保存された構造タンパクによって認識される形をとれば、これらの重要な過程が阻害されることはないと、我々は考える。これらのサテライトDNAのパッケージングによって構造タンパク質がセントロメアやセントロメア周辺のクロマチンの一部となり、このことからメガ塩基規模のサテライト塩基配列拡大のコストを低くする進化戦略の存在が示唆される。

