Article

生物工学:膜タンパク質の分解のためのトランスフェリン受容体標的キメラ

Nature 638, 8051 doi: 10.1038/s41586-024-07947-3

がん細胞が急速に増殖するには高レベルの鉄が必要であり、これが、鉄運搬タンパク質トランスフェリンと結合して鉄の取り込みを仲介するトランスフェリン受容体1(TfR1)の、細胞表面での著しい上方調節につながる。今回我々は、この現象と、TfR1のエンドサイトーシスの速さを利用して、膜タンパク質分解のためのヘテロ二重特異性抗体法、トランスフェリン受容体標的キメラ(TransTAC)を開発した。TransTACは、目的とする標的タンパク質とTfR1の細胞表面からの速やかな共インターナリゼーションを促し、標的タンパク質のリソソーム分解経路への進入を可能にするよう設計されている。我々は、TransTACが、上皮増殖因子受容体(EGFR)、PD-L1(programmed cell death 1 ligand 1)、CD20(cluster of differentiation 20)、キメラ抗原受容体(CAR)など、1回膜貫通型や複数回膜貫通型の天然あるいは合成の多様な膜タンパク質を効率的に分解できることを示す。応用例として、TransTACは、ヒト初代CAR-T細胞の可逆的制御や、マウス異種移植モデルにおける、エキソン19の欠失/T790M/C797S変異を持つ薬剤耐性EGFR駆動型肺がんの標的化を可能にした。TransTACは、膜タンパク質の正確な操作やがんの標的治療のための、二機能性抗体の新しい有望なファミリーである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度