Article
医用生体工学:超音波でプログラム可能な送達プラットフォームとしての水素結合性有機構造体
Nature 638, 8050 doi: 10.1038/s41586-024-08401-0
非侵襲的な超音波を用いて深部組織内のメカノケミカル活性化を精密に制御することは、基礎生物医科学の理解を進め疾患治療に変革をもたらす上で、大きな意味を持つ。しかし、超音波による活性化が明確に定義された、理論に基づく機械的刺激応答性材料系はまだ調べられていない。今回我々は、集束超音波(FUS)でプログラム可能な方式で引き起こされる薬剤活性化のツールキットとして多孔性の水素結合性有機構造体(HOF)を用い、超分子相互作用のオンデマンド切断を通して脳深部における特定の細胞事象を制御するという概念を提示する。メカノケミカル切断と超音波力学を可視化し得る理論モデルが開発され、機械的刺激応答性材料を合理的に設計してプログラム可能な制御を実現するための有益な指針が得られた。我々は、この手法の実用性を実証するために、クロザピンN-オキシド(CNO)というデザイナードラッグをFUS依存性放出に最適なHOFナノ結晶に封入し、マウスおよびラットの腹側被蓋野(VTA)で改変Gタンパク質共役受容体を活性化し、それにより深さ9 mmでも数秒の潜時で標的神経回路の調節を実現した。今回の研究は、分子相互作用を精密制御する超音波の能力を実証しており、超音波でプログラム可能なHOFを開発して非侵襲的かつ時空間的に細胞事象を制御し、これにより精密分子治療の可能性の立証を容易にするものである。

