材料科学:面直方向に金属伝導性を示す二次元ポリアニリン結晶
Nature 638, 8050 doi: 10.1038/s41586-024-08387-9
線状伝導性ポリマーは、ポリマー鎖方向に移動する可動キャリアによって課せられるバリスティック(弾道)輸送を示す一方、分子間秩序や電子的結合が不足していることに起因して、拡張次元(すなわち、ポリマー鎖間やポリマー層間)における伝導性が弱い。今回我々は、多層二次元ポリアニリン(2DPANI)結晶が、高い電気伝導率で面直方向に金属的電荷輸送を示すことを報告する。この材料は、層間距離3.59 Åのカラム状π配列構造と、織り込まれたポリアニリン鎖によって形成された周期的菱面体格子で構成されている。電子スピン共鳴分光法によって、2DPANI格子における顕著な電子非局在化が明らかになった。第一原理計算からは、2DPANIにおける面内2D共役と強い層間電子的結合が、Cl架橋による積層によって促進されることが示された。我々は、局所光伝導性を評価するために、テラヘルツ分光法と赤外ナノ分光法を用いて、赤外プラズマ周波数でのドルーデ型伝導と約200 S cm−1の外挿局所DC伝導率を明らかにした。コンダクティブ走査型プローブ顕微鏡法によって、およそ15 S cm−1という異常に高い面直伝導率が示された。垂直方向マイクロデバイスと横方向マイクロデバイスによる輸送測定によって、これに匹敵する高い面直伝導率(およそ7 S cm−1)と面内伝導率(およそ16 S cm−1)が明らかになった。さらに、垂直方向マイクロデバイスは、温度が低下するにつれて伝導率が増大しており、これは独特な面直方向の金属的輸送挙動を実証している。我々は、この多層2D伝導性ポリマー設計を用いることによって、面内相互作用を超える強い電子的結合が実現され、三次元金属伝導性に達する可能性があると予想する。

