ニューロン発生:前障-扁桃体と古皮質のニューロンおよび回路の決定機構
Nature 638, 8050 doi: 10.1038/s41586-024-08361-5
前障-扁桃体複合体と梨状皮質(PIR、古皮質の一部をなす)の腹側外側脳外套(VLp)興奮性ニューロンは、前頭前皮質(PFC)と相互結合を形成しており、これが認知情報と感覚情報を統合して適応行動を生み出している。これらの回路の生後早期における障害は神経精神障害と関連付けられていることから、それらの発生に関する理解が重要なことは明らかである。今回我々は、転写因子のSOX4、SOX11、TFAP2Dが、これらの興奮性ニューロンの発生、アイデンティティー、PFCとの結合形成において、中心的な役割を担っていることを明らかにする。有糸分裂後の興奮性ニューロンがSOX4とSOX11を欠失すると、基底外側扁桃体複合体(BLC)、前障(CLA)、PIRのサイズが顕著に縮小した。これらの転写因子は、Tfap2d発現の直接的調節を介してBLCの形成を制御する。ヒトを含む種間解析では、BLC、CLA、PIRの発生中の興奮性ニューロン、そして前頭皮質、島皮質、側頭皮質の関連する移行領域において、Tfap2dの発現が保存されていることが分かった。Tfap2dの欠失やハプロ不全は、学習した脅威応答行動に類似の変化をもたらすが、Tfap2dの遺伝子量の違いで表現型は異なり、特にBLCのサイズとBLC–PFC結合の程度に違いが見られた。これは、Tfap2d遺伝子量が、BLC–PFC結合の発生的遷移と神経精神障害の症候に似た行動変容を指揮する上で重要であることを浮き彫りにしている。総合すると今回の知見は、極めて重要なVLp興奮性ニューロンの発生と機能、そしてPFCとの結合を形作る進化的に保存された遺伝子調節ネットワークについて、そのカギとなる要素を明らかにしており、それらの進化と神経精神障害での変化について洞察をもたらしている。

