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統計物理学:大規模群衆における集団振動の出現
Nature 638, 8049 doi: 10.1038/s41586-024-08514-6
密集した群衆は、現代社会における最も危険な環境の1つである。危険は、制御されていない集団運動から生じ、壁への圧迫、窒息、死亡事故につながる。群衆動態に関する現状の理解は主に発見法的な衝突モデルに依存しているが、こうしたモデルは少人数の集団に観察される挙動を効果的に捉えるものである。一方、数千人もの人々で構成される密集した群衆の創発的な動態は、定量的な実験的評価や第一原理に根差した説明の得られていない、依然として一筋縄ではいかない多体問題である。今回我々は、スペインのサン・フェルミン祭での数千人の密に押し込められた人々の動態を解析し、閉じ込められて密集した群衆の物理理論を推察した。測定の結果から、密集した群衆が自己組織化して巨視的なカイラル振動子となり、これが外部からの誘導なしに数百人の人々による軌道運動を調整することが明らかになった。我々は、こうした測定結果と対称性の原理を指針として、密集群衆運動の力学モデルを構築した。今回のモデルは、創発的で奇妙な摩擦力が、集団的なカイラル振動に向けて非相反的な相転移を駆動することを実証しており、今回の実験的観測結果を全て捉えている。我々は、今回の知見のロバスト性を検証するために、2010年のラブパレード群衆事故の発生時にも同様のカイラルダイナミクスが現れていたことを示し、こうしたこれまで予測不可能であった動態を予測するのに役立ち得るプロトコルを提案する。

