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分子生物学:雌マウスにおいて母親由来のX染色体は認知機能と脳の老化に影響を与える

Nature 638, 8049 doi: 10.1038/s41586-024-08457-y

哺乳類の雌の細胞は2本のX染色体を持ち、一方は母親に由来し、もう一方は父親に由来する。発生中に片方のX染色体がランダムに不活性化され、その結果、母親由来のX(Xm)染色体あるいは父親由来のX(Xp)染色体のどちらかが不活性な状態になって、X染色体モザイクを生じる。この現象は雌個体間で異なっており、一部の個体では、活性な状態で残るX染色体に顕著あるいは完全な偏りが見られる。X染色体の親由来の効果は、DNAメチル化や、おそらくは遺伝子発現を通じてエピジェネティクスを変化させることがあるため、モザイク現象は加齢や疾患で調節が異常になった過程を緩和する可能性がある。しかし、X染色体の偏りやそのモザイク現象が雌個体の機能を変化させるかどうかは、ほとんど分かっていない。今回我々は、活性Xm染色体への偏りが、脳と体に影響を及ぼすかどうかを調べ、XmニューロンとXpニューロンに固有の特徴を明らかにした。活性Xm染色体は、雌マウスにおいて生涯を通して認知機能を低下させ、加齢に伴って認知機能を悪化させた。認知障害には、雌マウスの海馬(学習と記憶のカギとなる中枢)のXmを介した生物学的あるいはエピジェネティックな老化の加速が付随していた。海馬ニューロンのXmではいくつかの遺伝子がインプリンティングされており、認知機能関連座位が抑制されていることを示唆している。Xmでインプリンティングされた遺伝子をCRISPRにより活性化すると、老齢雌マウスで認知機能が改善した。従って、Xm染色体は認知機能を損なわせ、脳の老化を加速するとともに、老化中の認知機能に寄与する遺伝子を抑制する。Xmが脳機能を低下させる仕組みを理解することは、雌個体の認知的健康に見られる不均一性に関する理解を向上させ、認知障害や脳の老化を防ぐX染色体由来経路につながる可能性がある。

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