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医学研究:腫瘍微小環境におけるミトコンドリア移行を介した免疫回避
Nature 638, 8049 doi: 10.1038/s41586-024-08439-0
腫瘍微小環境におけるがん細胞は、免疫系、特にT細胞の攻撃を回避するためにさまざまな機構を用いている。 例えば、腫瘍微小環境における代謝再プログラム化、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)におけるミトコンドリア機能不全によって抗腫瘍免疫応答が障害される。しかし、このような過程の詳細な機構は分かっていない。今回我々は、臨床検体を解析し、TILにおいてがん細胞と共通するミトコンドリアDNA(mtDNA)変異を特定した。さらに、がん細胞由来のmtDNA変異を持つミトコンドリアはTILに移行できることが明らかになった。通常、TILのミトコンドリアは、活性酸素種を介して容易にマイトファジーを受ける。しかし、がん細胞から移行したミトコンドリアはマイトファジーを受けず、これはマイトファジー阻害分子によることが分かった。これらの阻害分子はミトコンドリアに付着して、共にTILに移行することで、ホモプラスミーへの置換を引き起こす。がん細胞由来のmtDNA変異を獲得したT細胞は、代謝異常と老化を示し、エフェクター機能や免疫記憶形成が障害されていた。結果的に、これはin vitroおよびin vivoの両方で抗腫瘍免疫の障害につながった。従って、腫瘍組織にmtDNA変異が存在することは、悪性黒色腫あるいは非小細胞肺がんの患者における免疫チェックポイント阻害剤の予後不良因子である。これらの知見は、がんのミトコンドリア移行を介した免疫回避のこれまで知られていなかった機構を明らかにしており、今後のがん免疫療法の開発に関わり得る。

