Review

生態系ネットワーク:菌類が地球の生態系に及ぼす影響

Nature 638, 8049 doi: 10.1038/s41586-024-08419-4

菌界は過去10億年の間に200万種以上にまで多様化したが、そのうち95%以上は未記載である。よく知られた巨視的なキノコや微視的な酵母をはじめ、菌類はほぼ全ての有機炭素を栄養源とする従属栄養生物であり、動植物の遺骸を分解して栄養素を再循環させ、炭素を地球の生態系に隔離している。人間による菌類の利用は、発酵パンやアルコール飲料、バイオ燃料から、抗生物質や向精神薬などの医薬品まで多岐にわたる。一方で真菌症は、農作物から野生生物、ヒトに至るまで、多様な生態系に対するリスクとなり、これらのリスクは一部にはヒトや動物の移動に駆動されていて、気候変動に伴い今後加速する可能性がある。ゲノム調査によって、菌界の真の生物多様性に関する知識が広がっており、ゲノム編集ツールによって、菌類の利用による生物経済の活性化を考案することが可能になっている。本総説で我々は、人間社会が直面している菌類の脅威について検討するとともに、そうした脅威に対抗するための菌類利用の可能性を探る。

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