古生物学:白亜紀の南極の鳥類の頭蓋が示す初期鳥類の生態的多様性
Nature 638, 8049 doi: 10.1038/s41586-024-08390-0
白亜紀のクラウン群鳥類(鳥綱)系統の化石記録は、極めてまれだが、初期鳥類の複数の分岐にわたる主要な生態的変化を解明する上で非常に重要である。クラウン群鳥類と推定される既知で最初期の鳥類の一種であるベガビス(Vegavis iaai)は、白亜紀の末期(6920万~6840万年前)の南極に生息した、足を使って潜水する鳥類で、その系統発生的な類縁関係には議論がある。ベガビスは当初、系統解析によってステム群カモ科に位置付けられたが、その後は、カモ目のステム群内、あるいは鳥綱の外側にすら位置付けられることもあった。本論文で我々は、ベガビスの新たに発見されたほぼ完全な頭蓋を報告する。この頭蓋は、ベガビスの摂食生態に関して新たな知見をもたらすとともに、ベガビスがクラウン群鳥類の中でカモ目に位置付けられることを支持する形態的特徴を示している。ベガビスには、鳥類様のくちばし(無歯性で、上顎骨が小さい)と脳の形状(大脳が著しく発達し、視葉が腹側に移動している)が見られる。また、側頭窩には相当の深さと広がりがあり、これはベガビスの顎の筋組織が肥大していたことを示している。くちばしは細く先端がとがっており、下顎には関節後突起が存在しない。以上の特徴から構成される摂食装置は、既知の他のいかなるカモ目鳥類のものとも異なるが、水中で獲物を捕獲する他の現生鳥類(カイツブリ類やアビ類)のものに類似している。白亜紀に、既知のキジカモ類(キジ目およびカモ目)の中では他に例のない摂食生態を有するベガビスが存在したことは、現生鳥類の多様性には見られないような進化的実験が、最初期のカモ目鳥類の分岐を特徴付けていたことをさらに示している。

