保全生物学:淡水動物相の4分の1が絶滅の危機に瀕している
Nature 638, 8049 doi: 10.1038/s41586-024-08375-z
淡水生態系は生物多様性が高く、人間の生活や経済発展に重要であるが、現在大きなストレスにさらされている。これまで、地球規模の網羅的な絶滅リスク評価には、淡水を主な生息環境とする種数に富んだ生物群が全く含まれていなかった。そのため、環境政策や保全の優先順位を決定する上では主に陸生の四肢類のデータが用いられており、一方で、淡水の目標設定に関する最近の提案では非生物的要因が用いられている。しかし、そうしたデータは、淡水種が必要とするものを反映して生物多様性の目標を達成するには不十分であることが示されている。本論文で我々は、2万3496種の十脚甲殻類、魚類およびトンボ類を対象に、国際自然保護連合(IUCN)の「絶滅危惧種レッドリスト」に関して、地球規模で淡水動物相の多分類群の評価を行った結果を報告する。これにより、評価対象種の4分の1が絶滅の危機に瀕していることが明らかになった。主な脅威としては、汚染、ダムおよび取水、農業、そして外来種が挙げられ、乱獲も絶滅の一因となっていた。我々は、絶滅危機にある四肢類と淡水の非生物的要因(水ストレスおよび窒素)の両方について、どの程度、絶滅危機にある淡水種に関する代理指標性があるかも調べた。その結果、絶滅危機にある四肢類は、希少性で重み付けした種数を最大化するように地域の優先順位決定を行う場合は有効な代理指標となるが、最も分布域が狭い種に基づいて優先順位の決定を行う場合はあまり良い代理指標とはならないことが分かった。それでも、これらは非生物的要因よりははるかに優れた代理指標であり、非生物的要因の有効性はランダムにも及ばなかった。このように、四肢類の保全のために特定された世界の優先地域は、大筋では淡水動物相にも当てはまるが、主要な脅威や生息地に違いがあることを踏まえると、淡水種を地域的な規模で保全するには四肢類に必要なものを満たすだけで十分とは考えられない。

