幹細胞:骨髄のニッチは幹細胞の階層性と免疫寛容を制御する
Nature 638, 8049 doi: 10.1038/s41586-024-08352-6
幹細胞は、組織内の複数の異なる場所にあるニッチと呼ばれる特殊な微小環境に存在する。幹細胞移植や免疫療法の臨床応用が増えていることを考えると、不均一な幹細胞やニッチの異なる機能は重要である。異なるニッチの幹細胞間に階層構造が存在するのかどうか、さらに免疫寛容の局面を制御しているのかどうかも明らかではない。今回我々は、造血幹細胞(HSC)および骨髄ニッチにおいて再生能力および免疫特権の両方を規定する、これまで知られていなかった階層配置を報告する。一酸化窒素(NO)を高レベルで産生する(NOhi)HSCは免疫による攻撃に抵抗性があり、また遅発性ではあるがロバストで長期的な再構築を示す。そのような高度に免疫特権のある、分化能の高いNOhi HSCは、一次繊毛を有する内皮と免疫チェックポイント分子であるCD200の高発現を特徴とする特殊な毛細血管と共局在していた。これらの毛細血管は、繊毛タンパク質であるIFT20を介して、CD200、内皮型一酸化窒素シンターゼ、オートファジーシグナルとともにNOhi HSCの再生機能を調節し、これがさらに免疫防御を仲介する。注目すべきことに、これまで報告されていたニッチ構成因子である類洞細胞やH型血管は、あまり免疫特権や強力な再構築能を持たないNOlow HSCと共局在していた。このように、高度な免疫特権を有し、遅れて増殖する分化能の高いHSCが見つかり、こうしたHSCの免疫防御能を持つニッチが特殊な血管領域から構成されているという特徴が明らかになった。我々の結果は、このニッチが幹細胞の階層性と免疫寛容を制御することを明らかにし、また将来的な免疫療法の標的を示している。

