Article

材料科学:反強誘電体における反極性フラストレーションを介するエネルギー貯蔵の増大

Nature 637, 8048 doi: 10.1038/s41586-024-08505-7

高速充放電速度と信頼性を特徴とする、誘電体を用いたエネルギー貯蔵キャパシターは、最先端の電気機器や電子機器において極めて重要な役割を果たしている。キャパシターの小型化と集積化の追求において、誘電体は高いエネルギー密度と効率をもたらさなければならない。反平行双極子配置の反強誘電体は、場誘起強誘電状態における無視できるほどの残留分極と高い最大分極ゆえに、高性能エネルギー貯蔵向けに大きな関心を集めてきた。しかし、低い反強誘電–強誘電相転移場とそれに伴う大きなヒステリシス損失が、エネルギー密度と信頼性を悪化させてしまう。今回我々は、フェーズフィールドシミュレーションを指針として、非極性成分または極性成分を組み込むことによって反強誘電体における反極性秩序をフラストレートさせる新しい戦略を提案する。我々は、このアプローチが反強誘電–強誘電相転移場を効果的に調整すると同時にヒステリシス損失を低減させることを、実験により実証した。こうして我々は、PbZrO3系膜において、電場5.51 MV cm−1で、全ての反強誘電体の中で記録的な189 J cm−3というエネルギー密度と、81%という高い効率を実現した。これは、最先端のエネルギー貯蔵誘電体に匹敵する値である。走査型透過電子顕微鏡法による原子スケールでの特性評価結果から、分散した非極性領域が長距離反極性秩序をフラストレートさせ、これが性能向上に寄与していることが直接明らかになった。この戦略によって、反強誘電体において分極プロファイルを操作しエネルギー貯蔵性能を向上させる新たな機会がもたらされる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度