免疫療法:前立腺がんにおける骨髄系細胞を介した免疫療法抵抗性の進化
Nature 637, 8048 doi: 10.1038/s41586-024-08290-3
進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に抵抗性を示すが、その一因は腫瘍中に免疫抑制性の骨髄系細胞が存在することである。しかし、骨髄系細胞は不均一であるために標的化が難しく、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)阻害は臨床的には効果がない。今回我々は、患者の生検組織について連続した疾患過程全体にわたって単一細胞プロファイリングを行い、前立腺がんからmCRPCへの進行に伴って、SPP1転写産物レベルの高い腫瘍関連マクロファージ(SPP1hi-TAM)の独特な集団が増加することを見いだした。同系マウスモデルを作製したところ、類似したマクロファージ集団は、in vitroでCD8+ T細胞の活性を抑制し、in vivoでICI抵抗性を促進した。さらに、Spp1hi-TAMは、抗CSF1R抗体療法に応答しなかった。パスウェイ解析により、アデノシンシグナル伝達がSPP1hi-TAMを介した免疫療法抵抗性の機構として有望であることが明らかになった。実際に、アデノシンA2A受容体(A2AR)を薬理学的に阻害すると、in vitroではSpp1hi-TAMを介したCD8+ T細胞の免疫抑制が顕著に解消され、in vivoではPD-1(programmed cell death protein 1)阻害に対するCRPCの反応性が増強された。前臨床での結果と一致して、シフォラデナントを用いたA2AR阻害と、アテゾリズマブによるPD-L1(programmed death 1 ligand 1)阻害の併用療法は、mCRPC患者で臨床応答を誘導した。さらに、A2ARを阻害すると、CRPCでのSPP1hi-TAMの存在量が大幅に減少したため、この経路はSPP1hi-TAMの誘導とその下流の両方に関与していることが明らかになった。まとめるとこれらの結果は、SPP1hi-TAMは、mCRPCにおいてアデノシンシグナル伝達を介したICI抵抗性の主要なメディエーターであること明らかにしており、これにより、SPP1hi-TAMが治療標的としても治療効果を予測するためのバイオマーカー候補としても重要であることがはっきりと示された。

