Analysis
環境社会科学:小規模漁業の多次元的な貢献を明らかにする
Nature 637, 8047 doi: 10.1038/s41586-024-08448-z
持続可能な開発は「誰一人取り残さない」ことを目指している。それでも、小規模漁業(SSF)と、SSFが貧困、飢餓、栄養失調症の撲滅において持つ重要性は、あまり注目されてこなかった。今回我々は、協働的で多次元的なデータ駆動型の手法により、SSFが、世界の漁獲量の少なくとも40%(3730万トン)をもたらし、23億人の人々に対して、ヒトの健康に必須な6種類の主要な微量栄養素の食餌からの摂取量の平均20%を提供していると推定した。世界的には、12人に1人(うち半数近くが女性)の生計が少なくとも部分的には小規模の漁労に依存しており、合計で総水揚げ量の経済価値の44%(772億米ドル)を生み出していた。地域別では、SSFが最も多くの人々に対して水産物を供給し、生計を支え、栄養を供給にしているのはアジアであった。全ての地域における漁業部門(大規模漁業と小規模漁業からなる)の全漁獲量との比較では、SSFによる漁獲と栄養の供給量が最も大きいのはアフリカであり、SSFが最も多くの生計を改善しているのはオセアニアであった。持続可能な開発に対するSSFのこうした多次元的な貢献を維持・拡大させるには、的を絞った効果的な活動、特に、運営や管理を漁業者と共有し、それらへの漁業者の関与を増やすことが必要である。SSFの多次元的な貢献に重点を置いた運営と管理なしには、数百万人いる漁業者や漁業従事者はさらに取り残されることになるだろう。

