構造生物学:ニトロゲナーゼをO2からコンホメーション変化によって保護する際の構造的基盤
Nature 637, 8047 doi: 10.1038/s41586-024-08311-1
二原子窒素(N2)の還元に必要とされる低い還元電位によって、金属を含む窒素固定触媒は二原子酸素(O2)による不可逆的損傷を受けやすくなる。窒素固定生物の大部分は、触媒によるN2還元に伴う高いエネルギー要求を支えるために絶対好気性菌であったり、またはO2呼吸生物と近縁であったりするため、このようなO2感受性は、酵素であるニトロゲナーゼにとって大きな問題となる。ニトロゲナーゼが受けるO2による損傷に対抗するため、窒素固定細菌はO2スカベンジャーを使ったり、細胞内O2濃度をできるだけ下げるために細胞内を区画化したり、高い呼吸速度を維持したりしている。損傷制御の最終防御線の1つは、「コンホメーションによる保護」という機構によるもので、[2Fe:2S]フェレドキシンファミリーのFeSIIと命名されたタンパク質がO2ストレス下で活性化されて、ニトロゲナーゼの成分のタンパク質群とO2耐性の複合体を形成する。以前の考察にもかかわらず、ニトロゲナーゼのコンホメーションによる対O2保護の分子基盤とFeSII活性化の機構は解明されていない。今回我々は、窒素固定細菌Azotobacter vinelandiiのFeSII–ニトロゲナーゼ複合体の構造学的特徴をクライオ電子顕微鏡法を用いて調べた。この研究によって、2個のモリブデン–鉄タンパク質(MoFeP)と2個の鉄タンパク質(FeP)、それに1個のFeSIIホモ二量体からなるコア複合体が明らかになり、それらは重合して伸びたフィラメントを形成することが分かった。この3タンパク質複合体では、FeSIIはMoFePおよびFePとの相互作用による広がったネットワークを作り出していて、そこに含まれる鉄–硫黄クラスターが、触媒的には不活性だがO2からは保護された状態となるように配置されている。FeSII–ニトロゲナーゼ複合体の構造は、溶液中での研究により確認され、さらにFeSIIの活性化には酸化により誘導されるコンホメーション変化が含まれることが示された。

