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超分子化学:二重層ナノグラフェンによって明らかになった、ベンゼン孔を通るハロゲン化物イオンの透過
Nature 637, 8047 doi: 10.1038/s41586-024-08299-8
グラフェンはsp2混成軌道を持つ単層の炭素同素体であり、水素以外の全ての原子を透過させないという性質を持つ。欠陥を導入することによって選択的な気体透過が可能になり、その選択性を高めるためにこうした欠陥のサイズを制御する取り組みがなされてきた。イオンなど、気体以外の物質の透過は、淡水化、検出、精製への応用可能性から、基本科学において関心を集めている。しかし、ハロゲン化物イオン透過の精密な実験的観察は、これまでのところ知られていない。今回我々は、単一のベンゼンサイズの欠陥を持つナノグラフェン分子における、ハロゲン化物イオンの透過を示す。我々は、超分子化学の自己組織化の原理を用いて、安定な二重層ナノグラフェンを創製した。この二重層ナノグラフェンの空洞は、2 Å分のサイズの窓からしかアクセスできないので、空洞内に捕捉されたあらゆるハロゲン化物イオンは、単一のベンゼン孔(benzene hole)を透過する必要がある。今回の実験によって、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンは単一ベンゼン孔を透過できる一方で、ヨウ化物イオンは透過できないことが明らかになった。単層ナノグラフェンを介した塩化物イオンの高い透過性と、二重層ナノグラフェンにおける選択的なハロゲン化物イオン結合の証拠は、グラフェンにおける単一ベンゼン欠陥を、人工ハロゲン化物イオン受容体や濾過膜として、さらには多層人工塩化物イオンチャネルを創製するために使用する可能性を示唆している。

