Article

ウイルス学:乳牛における高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1接種

Nature 637, 8047 doi: 10.1038/s41586-024-08166-6

高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)H5N1ヘマグルチニンクレード2.3.4.4bは、2021年に米国で検出された。これらのHPAIウイルスは家禽類や野鳥、野生の哺乳類で致死性の事象を引き起こした。複数の州にわたる牛乳生産量の減少に関する調査の結果、2024年3月25日に、テキサス州の乳牛でHPAI H5N1クレード2.3.4.4bが確認された。さらに米国の14の州で、200を超える陽性の飼養群が見つかった。症例報告には、泌乳牛での飼料摂取量低下や反芻運動の低下、生乳生産量の減少、粘稠な黄色乳などがある。診断調査によって、乳汁中のウイルスRNA、肺胞上皮の変性や壊死、乳腺組織の腺上皮での免疫反応陽性が明らかとなった。H5N1クレード2.3.4.4b遺伝子型B3.13は、おそらく鳥からの1回の伝播事象に続いて、限定的な局所伝播が起こり、水平伝播が進んだ。今回我々は、ホルスタイン種の当歳(yearling)雌牛と泌乳牛において、遺伝子型B3.13感染の実験的再現を試みた。当歳雌牛はエアロゾル呼吸器経路によって、泌乳牛は乳腺内経路によって接種を行った。当歳雌牛での臨床症状は軽症であったが、ウイルス検出、病変、セロコンバージョンによって感染が確認された。泌乳牛での臨床症状には、反芻運動の低下、乳汁の見た目の変化や泌乳量の減少があった。感染は、乳汁中で検出された高レベルのウイルスRNA、ウイルスの単離、乳腺組織中の病変、セロコンバージョンによって確認された。本研究は、感染経路、発病機序、伝播、介入戦略をさらに研究するための基盤を提供する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度