計算生物学:グリオーマ浸潤を無標識で迅速に検出するための基盤モデル
Nature 637, 8045 doi: 10.1038/s41586-024-08169-3
グリオーマ(神経膠腫)の治療における大きな課題は、手術中に腫瘍浸潤を検出して、安全かつ最大限の切除(safe maximal resection)を実現することである。残念ながら、手術後のグリオーマ患者の大多数で、安全に切除可能な残存腫瘍が見つかり、早期再発や生存率低下の原因となっている。本論文で我々は、切除したばかりで未処理の外科組織中のグリオーマ浸潤を、迅速(10秒未満)かつ正確に検出するための視覚的な基盤モデルであるFastGliomaを提示する。FastGliomaは、無標識の迅速な光学顕微鏡検査で大規模自己教師あり学習(約400万枚の画像)を用いて事前訓練され、ホールスライドの光学顕微鏡像内での腫瘍浸潤の度合いを示す正規化スコアを出力するように微調節された。びまん性グリオーマ患者(n = 220)の国際的な多施設前向き検証コホートにおいて、FastGliomaは受信者動作特性曲線下面積(AUROC)平均92.1 ± 0.9%で腫瘍浸潤度合いの検出と定量化を行うことができた。FastGliomaは手術中の腫瘍浸潤の検出において、前向き直接比較研究(n = 129)で画像誘導補助装置や蛍光誘導補助装置の成績を大幅に上回った。FastGliomaの成績は、多様な患者集団においても、さまざまな医療施設においても、そして世界保健機関(WHO)が定義するびまん性グリオーマのさまざまな分子サブタイプにおいても高いままだった。FastGliomaは、他の成人や小児の脳腫瘍の診断に対してゼロショット汎化を示し、我々の基盤モデルが脳腫瘍手術をガイドする汎用補助装置として利用できる可能性を実証している。これらの知見は、がん患者ケアにおける人工知能の役割を解き放つ医療基盤モデルの革新的な可能性を示している。

