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化学:光酵素における独特なC–N結合形成機構の創発
Nature 637, 8045 doi: 10.1038/s41586-024-08138-w
低分子医薬品や農薬に窒素ヘテロ環がよく見られるため、C–N結合形成は現代の化学合成に不可欠である。活性化されていないアルケンを用いるアルケンヒドロアミノ化は、こうしたC–N結合を構築するための原子経済的な戦略である。しかしこうした反応は、完全に置換された炭素立体中心を調製する際、不斉化することが困難である。今回我々は、バイヤー・ビリガーモノオキシゲナーゼによる光酵素的アルケンヒドロアミノ化で2,2-二置換ピロリジン類を調製したことを報告する。5ラウンドのタンパク質工学によって変異体が生成され、優れた生成物収率と立体選択性が得られた。今回の研究は、アミンまたはアルケンの酸化に基づいてC–N結合を形成する関連の光化学的ヒドロアミノ化とは異なり、還元的に生じたベンジルラジカルと窒素孤立電子対のスルースペース相互作用を利用している。この反結合性相互作用が、ラジカルの酸化電位を低下させ、フラビン補因子への電子移動を可能にしている。実験によって、低分子触媒反応では類を見ない革新的なC–N結合形成機構を可能にする上で、酵素の微小環境が不可欠であることが示された。分子動力学シミュレーションを行って酵素活性部位における基質を調べたところ、この仮説がさらに裏付けられた。今回の成果は、非天然生体触媒反応における創発的な機構のまれな例であり、この反応で酵素は、その酵素の個々の構成要素が利用できない機構を利用できる。今回の研究は、タンパク質工学を用いて創発的な機構を強化することで、化学合成における未解決の課題に対して独自の機構的解決策を提供できる可能性を提示している。

