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がん治療:RAS変異体によるGTP加水分解の薬理学的回復
Nature 637, 8044 doi: 10.1038/s41586-024-08283-2
世界では毎年約340万人もの受診者が、3種類のRASがん原遺伝子(KRAS、NRAS、HRAS)のどれか1つに病原性変異を持つがんと診断される。これらの変異はRASのGTPアーゼ活性を損ない、それが下流でのシグナル伝達と増殖の活性化につながる。RAS変異体の加水分解酵素活性を回復させようという長年の試みはこれまで成功していないため、実行可能な治療戦略の検討は行われてこなかった。今回我々は、活性化状態のRASにシクロフィリンA(CYPA)を引き寄せる能力のある分子接着剤である三者複合阻害剤が二重の作用機構を持つこと、すなわち活性化されたRASのエフェクターへの結合を防ぐだけでなく、GTP加水分解を刺激することを明らかにする。薬剤に結合したCYPA複合体は、RASのswitch IIモチーフ中の残基を修飾して、変異特異的な様式でGTPのγ-リン酸への求核攻撃を連携して行う。GTPアーゼ活性の刺激に最も感受性の高いRAS変異体が、加水分解の亢進ができなかった変異体に比べて、治療に対する感受性が高かった。このことから、加水分解の薬理学的促進は特定のRAS変異体に対する三者複合阻害剤の治療効果を高めると考えられる。この研究によって、変異体のGTPアーゼ活性の刺激によってがん増殖を阻害するタイプの治療法開発の基盤が整った。

