生化学:細胞挙動のプログラム可能な感知と制御のための合成GPCR
Nature 637, 8044 doi: 10.1038/s41586-024-08282-3
抗原依存的な細胞反応を仲介する合成受容体は、治療法や創薬、さらに基礎研究を変革しつつある。しかし、キメラ抗原受容体のような既成の技術は固定化された抗原しか検出できず、出力範囲は限られており、薬剤制御機構も組み込まれていない。今回我々は、ユーザーが定義した抗原に応答して、広範な天然または非天然の細胞過程を駆動できる合成Gタンパク質共役受容体(GPCR)群を設計した。さらに、条件付き自己阻害ドメインを作出してGPCR骨格に融合させることで、モジュール式の抗原ゲーティングを実現した。自己阻害は融合ナノボディへの抗原結合により解除され、薬剤による受容体活性化が可能となり、その結果、プログラム可能で、抗原によりゲート開閉するタイプのGタンパク質共役強化型受容体(PAGER:programmable antigen-gated G-protein-coupled engineered receptor)が生成する。我々は、生物学的および治療に重要な10種類以上の可溶性抗原と細胞表面抗原に対して応答するPAGER群を、対応するナノボディ結合剤から一工程で作製した。多様なPAGERを足場とすることで、抗原結合により導入遺伝子発現やリアルタイムでの蛍光もしくは内在性Gタンパク質活性化を駆動でき、多様な細胞機能が制御可能になった。さらに、可溶性抗原の勾配に沿ったT細胞遊走の誘導、マクロファージ分化の制御、治療用抗体の分泌、マウス脳切片でのニューロン活性の阻害などの、PAGERの複数の応用例が実証された。PAGERは、そのモジュール型設計と一般化可能性により、創薬やトランスレーショナルサイエンスに幅広く役立つと、我々は期待している。

