Article

医学研究:発情周期のステージは化学療法に対する乳腺腫瘍の感受性に影響を及ぼす

Nature 637, 8044 doi: 10.1038/s41586-024-08276-1

ネオアジュバント化学療法(NAC)に対する乳がんの応答は、腫瘍が分子的あるいは組織学的に同一のサブタイプに属する場合でも大きく異なる。今回我々は、発情周期がこの不均一性の原因となる重要な因子であることを突き止めた。3種類の乳がんマウスモデルで、治療を発情期に開始した場合と比較して、発情間期に開始した場合にはNACに対する応答が減弱することを示す。同様の知見は、閉経前ヒト患者の後ろ向きコホートでも観察された。機構としては、発情間期では、(1)化学療法抵抗性につながる上皮間葉転換を起こした細胞数の増加や(2)腫瘍血管径の縮小などの全身性や局所性の変化が認められ、薬物の感受性や送達を制約する可能性が示唆される。さらに、これまでに化学療法抵抗性の誘導との関連が示されている、マクロファージの存在量の増加が、発情間期を特徴付けている。NACは発情周期を破綻させる一方で、こうしたマクロファージの割合の増加は持続し、またマクロファージを減少させると、発情間期に治療を開始した場合に見られる治療応答性低下が緩和する。まとめると我々のデータは、発情周期が化学療法感受性を決定する重要なインフラディアンリズムであることを示しており、治療開始の最適なタイミングを活かして化学療法の転帰を向上させることを目指す今後の臨床研究の根拠となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度