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細胞生物学:ヒトHDAC6はバリンの存在量を感知してDNA損傷を調節する

Nature 637, 8044 doi: 10.1038/s41586-024-08248-5

バリンは、必須の分枝アミノ酸としてタンパク質合成、神経の挙動、造血、白血病の進行などで重要な働きをしている。しかし、すぐ後に続く細胞機能のために細胞のバリン存在量を感知する仕組みは、まだ解明されていない。今回我々は、ヒトのヒストンデアセチラーゼ6(HDAC6)が霊長類特異的なSE14反復ドメインを介してバリンに直接結合することにより、バリンを感知するセンサーとして働くことを明らかにする。ヒトHDAC6の核と細胞質の間での往復輸送は、細胞内バリンレベルによって厳密に制御されている(マウスHDAC6はそうではない)。バリンが枯渇するとHDAC6は核に保持されるようになり、DNAの損傷が生じる。仕組みとしては、核に局在したHDAC6がTET2(ten-eleven translocation 2)に結合し脱アセチル化して、活発なDNA脱メチル化を誘発すると、チミンDNAグリコシラーゼが引き起こす切除によって、DNA損傷が促進される。食餌性バリンを制限すると、異種移植片と患者由来の異種移植モデルにおいて腫瘍の増殖が阻害され、PARP阻害剤の治療効果が高まった。これらの結果を総合すると、ヒトHDAC6はバリンの枯渇に応答してDNA脱メチル化とDNA損傷を促進するバリンセンサーであることが突き止められ、食餌性バリンの制限ががんの治療に役立つ可能性が明らかになった。

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